尾崎小学校の校章由利本荘市立尾崎小学校

由利本荘市いじめ防止基本方針

由利本荘市いじめ防止基本方針

平成26年2月25日
由利本荘市教育委員会

基本方針策定の趣旨

いじめの問題への対応は学校における最重要課題の一つであり、一人の教職員が抱え込むのではなく、学校が一丸となって組織的に対応することが必要である。また、関係機関や地域の力も積極的に取り込むことが必要であり、これまでも国や各地域、学校において、様々な取組が行われてきた。

本市においては、地域とともにある学校づくりを中核に据え、ふるさと教育・キャリア教育の充実を図るともに、学校・保護者・地域の連携の下「心の教育」を基盤にした特色ある学校づくりを進めている。また、由利本荘市子ども条例を制定し、同第10条においていじめ等迷惑行為の禁止を定め市全体で取り組んでいる。

しかし、全国的に見て、学校におけるいじめについては依然深刻な状況が続いている。いじめは、いじめを受けた児童生徒の教育を教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な育成及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれのある、決して許されない行為である。決して許されない行為ではあるが、どの子どもにも、どの学校でも起こりうるものであるという認識の下、「いじめは絶対に許されない」、「いじめは卑怯な行為である」、「いじめの問題は学校を含めた社会全体の課題である」という強い意識をもち、児童生徒との信頼関係に基づいて、それぞれの役割と責任を果たしていかなければならない。

このたび、「いじめ防止対策推進法(平成25年6月28日公布、同年9月28日施行)」(以下、「法」という)及び「こども基本法(令和4年6月22日 公布、令和5年4月1日 施行)」、「生徒指導提要(令和4年12月改訂)」を鑑み、由利本荘市教育委員会では、本市の全ての児童生徒が安心して生活し、共に学び合うことができる環境を社会全体で作り上げることを目指し、学校、家庭、地域、その他関係者が連携して、いじめの未然防止と早期発見、適切な対処を図るための基本方針を定めるものである。

1 いじめ防止等に関する基本的な考え方

(1) いじめの定義

「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。(法第2条)

  • 「一定の人的関係」とは、学校の内外を問わず、同じ学校・学級や部活動の児童生徒や、塾やスポーツクラブ等当該児童生徒が関わっている仲間や集団(グループ)など、当該児童生徒と何らかの人的関係を指す。
  • 「物理的な影響」とは、身体的な影響のほか、金品をたかられたり、隠されたり、嫌なことを無理矢理させられたりすることなどを意味する。外見的にはけんかのように見えることでも、いじめられた児童生徒の感じる被害性に着目した見極めが必要である。
  • 具体的ないじめの態様は、以下のようなものがある。
    • 冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる
    • 仲間はずれ、集団による無視をされる
    • 軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする
    • ひどくぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする
    • 金品をたかられる
    • 金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする
    • 嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする
    • パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされたりする 等

(2) いじめの防止

全ての児童生徒をいじめに向かわせることなく、心の通い合う人間関係を構築できる社会性を育むためには、教職員と保護者・地域等の学校関係者、関係機関等が一体となり、継続的な取組を進める必要がある。

その取組を通して、全ての児童生徒に「いじめは決して許されない」ことを理解させるとともに、豊かな情操や道徳心、互いの人格を尊重し合う態度を育み、児童生徒がいじめをなくすために主体的に行動するなど、学校や地域全体にいじめを許容しない雰囲気が形成されるように努めなければならない。

(3) いじめの早期発見

いじめの早期発見は、いじめへの適切な対応の前提となるものであり、周囲の大人たちが組織的な連携体制の下、児童生徒のわずかな変化にも気付く力を高めることが求められる。

いじめは大人が気付きにくい形で行われることを認識し、児童生徒をはじめ周囲の大人が、些細な兆候にもいじめではないかとの疑いをもち、早い段階から積極的にいじめを認知するように努めることが大切である。

また、定期的なアンケート調査や教育相談の実施、相談窓口を児童生徒及び保護者に周知するなど、児童生徒等がいじめを訴え、又は通報しやすい体制を整えることにより、学校と家庭、地域、関係機関が連携して、いじめの早期発見に努めるものとする。

(4) いじめへの対処

いじめの事実が確認された場合には、いじめを受けた児童生徒やいじめを通報した児童生徒の安全を確保した上で、いじめを行った児童生徒に対して適切な指導を行うほか、保護者にも誠実に対応するなど、組織的な対応を行う必要がある。

実態を的確に把握し、迅速かつ適切な対応を行うために、学校はいじめに対応するための校内体制及び組織を整備し、教職員はいじめを把握した場合の対処の在り方について、理解を深めておく必要がある。

(5) 家庭、地域、関係機関等との連携

社会全体で児童生徒を見守りながら健やかな成長を促すために、学校は、家庭、地域、関係機関等との連携を深める必要がある。

PTA組織、学校評議員制度、学校関係者評価委員会、学校運営協議会等を活用し、学校や地域のいじめへの対応状況について定期的に協議する機会を設けるほか、各学校が行う体験活動や学校支援地域本部の活動の充実により、児童生徒たちが大人と関わる機会を多く設定することは、いじめの未然防止及び早期発見につながるものと考えられる。

また、法務局や警察、児童相談所等との適切な連携を図るため、各地域生徒指導研究推進協議会の組織等を活用した情報交換会や連絡会議を開催するなど、平素から情報の共有を図る必要がある。

教育相談の実施に当たっては、必要に応じて、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、医療機関等の専門機関との連携を図り、学校以外の相談窓口についても児童生徒及び保護者に周知するなど、情報の共有や事案への対応についての連携体制を構築しておくことが求められる。

2 いじめの防止等のための具体的な取組

(1) 由利本荘市教育委員会における取組

① 互いの立場や考え方を尊重し合い、社会の一員として共に生きる豊かな心と感性の醸成を育むために、全教育活動を通じた道徳教育やふるさと教育、キャリア教育の充実を図る。
◇ 地域とともにある学校づくり(コミュニティ・スクール)の推進
◇ キャリア教育の視点に立った体験活動の充実

② いじめの早期発見及び実態把握のための定期的な調査等を年間指導計画に基づいて実施する。
◇ 学校生活アンケートの実施
◇ いじめ学校自己診断表の活用

③ 児童生徒、保護者、教職員が、いじめに係る相談を行うことができる体制を整備する。
◇ 市教育相談窓口の設置
◇ 各学校における相談の受入体制の整備及び市への報告・連絡体制等の確立

④ インターネットを通じて行われるいじめを防止し、効果的に対処するために必要な措置を講ずる。
◇ 警察等外部機関との連携による情報モラル教育の充実
◇ 情報モラル指導の充実のための指導資料等の提供

⑤ いじめ問題に関する課題解決に資するため、「由利本荘市いじめ問題対策連絡協議会」及び「由利本荘市いじめ対策委員会」を設置する。(法第14条)
◇ 「由利本荘市いじめ問題対策連絡協議会」の設置

(役割) いじめの実態やいじめ防止に関する方針等について情報交換を行い、いじめ防止に関係する機関の連携を図る。
(組織) 学校、教育委員会、児童相談所、法務局、警察、保護者その他の関係者より構成する。

◇ 「由利本荘市いじめ対策委員会」の設置

(役割) 法第23条第2項の規定による報告を受けた場合に、必要に応じて学校及び教育委員会に対しての支援若しくは必要な措置についての指示又は調査を行う。                 (組織) 人権擁護委員、医師、弁護士、学識経験者等を委員とする。

⑥ いじめの防止等に関する教職員の資質能力の向上を図るための研修を実施する。
◇ 市生徒指導研修会の実施
◇ 地域生徒指導研究推進協議会等の活用

⑦ 児童生徒が主体的に行ういじめ防止に資する活動への支援や、児童生徒、保護者、教職員等の意識啓発について必要な措置を講ずる。
◇ 中学生会議の活用
◇ 由利本荘市PTA連合会との連携

⑧ その他
「由利本荘市いじめ対策委員会」の開催における費用及びその他の関連事業に対しては、必要となる財政上の措置及びその他の措置を講ずる。

(2) 学校における取組

① 学校いじめ防止基本方針の策定

学校は、国又は県の基本方針及び由利本荘市いじめ防止基本方針を参考にして、自らの学校として、どのようにいじめの防止等の取組を行うかについての基本的な方向や、取組の内容等を生徒指導の重層的支援構造を踏まえた「学校いじめ防止基本方針」として定める。(法第13条)

なお、学校において定めた基本的な方針については、各学校の生徒指導の全体的な計画の中に適切に位置付けるほか、児童生徒、保護者、地域に対しても積極的に公表し、その理解を得るように努める。

② 校内組織(「いじめ対策委員会(仮称)」等)の設置

学校は、複数の教職員、その他必要に応じて専門的な知識を有する外部専門家等より構成されるいじめ防止等の対策のための組織を置く。(法第22条)

◇ 設置においては、以下の事項について留意する。

  • 構成員は、校長、教頭、教務主任、生徒指導主事、学年主任、養護教諭など複数の教職員とする。また、必要に応じて、スクールカウンセラー、学校評議員、保護者代表、警察官経験者などの中から、教職員以外の外部専門家等を加える。
  • 児童生徒や保護者、地域住民等が、相談や通報ができる「いじめの相談窓口」等を設置するなど、いじめの情報の収集における方策とともに、情報の把握や共有方法と支援体制の具体について示す。
③ 学校いじめ防止基本方針の内容

 学校基本方針には、「いじめに対する基本的な考え」を基に、「いじめの防止」、「早期発見」、「いじめに対する措置」を主な項目として、「保護者や地域との連携」、「関係諸機関との連携」等について、各校の実情に応じた具体的な取組内容を示す。

◇ 「学校いじめ防止基本方針」は、次の項目を設定し別紙様式を基に作成する。なお、「いじめの防止」、「早期発見」、「いじめに対する措置」については、以下に示す事項等を参考の上、その具体的な措置を明示する。

◎ 「いじめの防止」について
・いじめ防止に関わる体制づくりと校内研修の充実
・自己有用感や自己肯定感を生かした授業づくり
・全教育活動を通じた道徳教育や体験活動の充実
・児童・生徒会活動の自主的な取組による好ましい人間関係の形成
◎ 「早期発見」について
・複数教員による的確な観察や関わり,積極的な認知のための校内体制
・定期的なアンケート調査や教育相談の実施
・校内組織を活用した情報の共有
・相談窓口の設置
◎ 「いじめに対する措置」について
・組織的な情報の共有及び関係諸機関への迅速な報告等の体制の確立
・いじめ被害児童生徒又はその保護者への支援及び加害児童生徒等への対応
・児童生徒、保護者等への働きかけ等の具体的方策の確立
・ネット上のいじめの再発防止のための具体的措置

④ その他
  • いじめ対策委員会(仮称)の開催、アンケート調査等について、年間指導計画を作成し計画的な推進を図る。
  • 本委員会の取組が計画どおりに進んでいるかのチェックや、いじめへの対応がうまくいかなかったケースの検証、必要に応じた計画の見直しなど、各学校のいじめ防止等の取組についてPDCAサイクルの検証体制を構築する。

3 重大事態への対処

(1) 重大事態の発生と調査

① 重大事態の認定、調査組織の設置、報告等

いじめが重大事態と認められる場合、学校は速やかに事実関係を明確にするための調査を行い、教育委員会に報告する。教育委員会は、市長に報告する。

◇ 重大事態(法第28条第1項第1号、第2号)

  • 生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。
  • 相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。

② 調査の主体、組織、方法等

調査は、「由利本荘市いじめ対策委員会」及び学校が行う。調査の主体については、教育委員会が判断する。いずれの場合も、調査は教育的配慮に基づき、児童生徒の人権や個人情報保護等に十分留意した上で、児童生徒や教職員に対する質問紙調査や聞き取り調査等により行う。

◇ 調査の主体及び組織

  • 教育委員会「由利本荘市いじめ対策委員会」
  • 各学校「いじめ対策委員会(仮称)」
③ 調査結果の報告及び提供

調査結果については、速やかに市長に報告する。また、調査によって明らかとなった事実関係、その他必要と認められる情報は、その経過も含め、いじめを受けた児童生徒又は保護者に対して、プライバシーの保護に十分配慮し、適時、適切な方法で提供する。

◇ 調査結果の報告

学校→ 教育委員会→ 市長

◇ 調査結果の提供

  • 関係する児童生徒やその保護者への継続的な支援、指導方法等について
  • 重大事態に至った要因、経過、学校の対応等について

(2) 調査結果の報告を受けた市長による再調査及び措置

① 再調査

市長が、重大事態への対処または同種事態の発生防止のため必要があると認めた場合は、附属機関を設けて調査を行う等の方法により、教育委員会または学校による調査について調査する。

② 調査結果の提供及び報告
  • いじめを受けた子ども及びその保護者に対し情報を適切に提供する。
  • 調査結果を議会に報告する。
  • 調査結果を踏まえ必要な措置を講ずる。
③ 調査結果等の取扱い
  • 関係する児童生徒及びその保護者への継続的な支援、指導、助言等に活用
  • 同様の事態が再度発生することのないよう、当該学校及び各学校の指導改善に活用

附 則

この方針は、平成26年2月25日から施行する。

附 則

この方針は、令和6年4月1日から施行する。

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